霊芝と認知症:霊芝がアルツハイマー病の概念を覆す

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アルツハイマー病が近年注目された理由として; 2000年から2010年にアメリカで発表された統計によると、医療の進歩により過去の致死率の高い病気: 癌や心血管疾患などの死亡率がこの十年で30%減ったのに対し、アルツハイマー病による死亡率が40%増えたことで、アルツハイマー病は人類の将来の死因の重要な指標になると考えられたからです。

文/許嘉玲       中文版/請連結

 

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撮影/吳亭瑤)

 

認知症とは、脳傷害や病気による漸進性認知機能の退化のことで、この退化とは、単に自然老化に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下するもののみを指します。認知症は、計算能力の低下・判断力の低下・失語・失認・失行などの様々な症状が病状の悪化と共に現れ始めます。

認知症と自然老化は全く異なるものです。たとえば私たちは昼食のおかずを思い出せなかったとしても、昼食を食べたこと自体を忘れることはありません。これが自然老化の状態であり、認知症の場合は「食べた」という体験自体がまるごと記憶から抜け落ちてしまいます。

認知症は病状の進行度合によって、初期、中期、末期に分けられます。末期になると家族も認識することができず、自分で生活する能力すらも失い、全面的な介助が必要となります。認知症は一般的に、血管性認知症と変性性認知症の二種類に分類されます。前者は血管の詰まり、若しくは他の病気から起因するもの、後者は脳神経機能の障害が原因で発生するもので、これに代表するのが「アルツハイマー病」です。

アルツハイマー病が近年注目された理由として; 2000年から2010年にアメリカで発表された統計によると、医療の進歩により過去の致死率の高い病気: 癌や心血管疾患などの死亡率がこの十年で30%減ったのに対し、アルツハイマー病による死亡率が40%増えたことで、アルツハイマー病は人類の将来の死因の重要な指標になると考えられたからです。

そして2014年に、台湾の学者、陳嗣民博士は「霊芝はアルツハイマー病を改善する」と言う研究成果を発表しました。その研究はまず、実験体であるマウスに1日500mg/kgの酸化アルミニウムを5ヵ月間連続投与しました。酸化アルミニウムは体内に入ると、特殊なアミノ酸と結合し、脳血管の中に沈着することによって、脳神経障害を引き起こします。この状態はアルツハイマー病の基本症状と似ています。

酸化アルミニウムを大量に摂取したマウスたちは、本当に脳の知能が衰えているかを検証する為、マウスに水中迷路実験を行いました。実験には、特に記憶力が低下したマウスたちを選別し、9週間に渡って霊芝の抽出物を与え、もう一度水中迷路実験を行い、最後に、霊芝は脳の知能の改善にどの用な効果をもたらすのかマウスたちの脳部をMRIとCTスキャンで調べます。

水中迷路実験には直径180㎝、深さ75㎝のプールを四分円に分け使用します。そして、分けた四分円の第四番目に平らな台を設置します。この実験では、マウスの水を嫌う習性を利用し、マウスが、水の当たらない第四番目の平らな台を見つけそこで休むかを観察します。

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(提供/吳亭瑤)

 

実験で使用するマウスは、四組に分けられます。一組目は正常な(酸化アルミニウムを投与していない)マウス、二組目と三組目は酸化アルミニウムを投与し、さらに霊芝の抽出物とアルコール抽出物を別々に投与したマウス、四組目は酸化アルミニウムのみを投与したマウスを使用します。

実験の初めに、マウスたちに練習として四分円の中を泳がせ第四番目に水の当たらない平らな台があることを認識させます。

次に、プールから第四番目の台を抜き取り, マウスの記憶力を確認します。記憶力に問題が無いマウスは、さきほどあった第四番目の平らな台を探そうとします。記憶力に問題が有るマウスはずっとプールの中で泳ぎまわります。

マウスの泳ぎ方やルートを観察するため上方にカメラを設置し、それぞれのマウスが目的地の第四番目の台にどれぐらいの時間を費やしたかをパソコンで計算し、マウスの記憶力と認知状態を測定します。

まず、最初の水中迷路実験で、マウスの泳ぐ時間を計ります。泳ぐ時間が短ければ短い程、台を無事に見つけられたということになります。実験の結果では、二組と三組目の酸化アルミニウムを投与しさらに霊芝の抽出物とアルコール抽出物を投与したマウスたちの泳ぐ時間は(台を見つけるまでの時間)一組目の正常なマウスとほぼ同じぐらいでした。しかし、霊芝を投入されなかった四組目のマウスは、霊芝を投入された二組目と三組目と比べ、泳ぐ時間が3~4倍以上かかりました。実験結果から、一組目・二組目・三組目のマウスはすぐに四分円の第四番目の台を見つけることができ、四組目のマウスたちは、泳ぐ距離と時間が他のマウスと比べ一番長くかかったことがわかりました。結論から言うと、アルツハイマー病の症状を持つマウスに二ヶ月間霊芝を投与することで、記憶能力を正常なレベルに引き戻せたことが証明されました。これは、霊芝がアルツハイマー病の記憶能力を改善することが証明された一つ目の実験結果となります。

次にマウスの記憶判断力を検証する為、四分円の第四番目に設置された台を取ります。結果では、一組目の正常なマウスたちは、最も早く第四番目の四分円にたどり着き、そこで休む時間も最長でした。なぜなら正常なマウスたちは水に当たることなく休憩できる台が第四番目の四分円にあると一回目の実験の記憶から確信していたからです。

一方で霊芝の抽出物を投与した二組目と三組目のマウスは、台の位置を確信しているような素振りを見せ、四組目のアルツハイマー病の症状を持つマウスは、台がどこにあるか覚えているような、覚えていないような素振りをしていました。以上から、霊芝はアルツハイマー病の症状を持つマウスの記憶判断力を改善することが出来ると証明されました。

前述のように、この水中迷路実験の結果から、霊芝はアルツハイマー病の症状を持つマウスたちに記憶力や判断力の改善に資したと言えます。しかし、このマウスの泳ぐ実験行為のみでは、マウスの機嫌や体調も左右される為、霊芝が作用しているという立証が確実とは言い切れません。そこで更なる立証をとる為、血流のスピードや酸素と栄養の供給、脳の中の、記憶能力と学習能力を司る海馬の血液状況を見ることが出来るCTやMRIスキャンなどを使用し、マウスたちの脳内の血流をスキャンしました。

血流のスピードが速い程、マウスが賢いということになりますが、スキャンの結果で、アルツハイマー病の症状を持つマウスたちの脳内血流の速度は正常なマウスと比べると遥かに遅いことが分かりました。そして、霊芝の抽出物を投与されたマウスたちの脳内血流の速度は正常なマウスとほぼ同じになりました。このスキャン結果から、霊芝が「脳内血流の供給を改善」の影響を与えることにより、アルツハイマー病の記憶と認知能力を改善する効果を発揮すると言えます。

アルツハイマー病になる原因は、脳内血流以外に神経傷害から起因することもあるため、研究者たちもマウスの脳神経伝達物質の含有量について評価しました。その結果、アルツハイマー病はマウスたちの脳神経伝達物質の含有量を減少させ、脳神経内のシグナルの伝達を悪くすることがわかり、霊芝の抽出物を投与すると、脳神経伝達物質の含有量は著しく増加したことが判明しました。

また、マウスたちの脳血管組織をスキャンした所、正常なマウスたちの脳血管は細かく隙間が無いくらいに分布されていました。それは、脳細胞の酸素と栄養分の供給が十分に充実している状態と言えます。霊芝の抽出物を投与されたマウスたちは、正常なマウスに比べ脳血管の分布がやや少ないと言えますが、アルツハイマー病の症状を持つマウスたちの脳血管は空洞がある様に見受けられました。

この水中迷路実験において、一つのことが証明されました。すでに発症しているアルツハイマー病に関しては、霊芝の抽出物とアルコール抽出物を与えれば、病状を正常な方面に改善することができ、記憶力と認知能力を改善するだけではなく、脳内血流の速度、血液粘度や血液循環と神経伝達まで改善することが出来きました。

その後、霊芝を投与され、病状が改善されたマウスたちは継続して霊芝を投与し続ける必要があるのか気になった研究者たちは、再び元アルツハイマー病の病状を持つマウスたちを観察しました。観察してから8週目に、霊芝を投与され病状が改善されたマウスたちの脳内血流速度は、霊芝の抽出物を投与されなかったマウスたちと近い状態になり、時間が経てば経つほど同じ状態になったことがわかりました。それは、元々改善されたアルツハイマー病が、霊芝を止めると再度発症することになり、霊芝でアルツハイマー病を改善するには習慣付けて飲む必要があるということになります。