首頁

霊芝と癌治療

  • 列印

「疲労と倦怠感(Fatigue)」は癌患者を最も困らせる症状の一つであるにもかかわらず、この症状の深刻さはあまり重要視されていません。癌もしくは癌治療による疲労と倦怠感は「癌因性の疲労」と呼ばれています。この疲労と倦怠感は主観的な感覚で、身体的疲労もあれば、精神的疲労もあります。精神的疲労は休むことや睡眠で改善することは難しく、日常生活にも支障を来たします。

文/許嘉玲   中文版/請連結

 

201605china-s

 

「疲労と倦怠感(Fatigue)」は癌患者を最も困らせる症状の一つであるにもかかわらず、この症状の深刻さはあまり重要視されていません。

癌もしくは癌治療による疲労と倦怠感は「癌因性の疲労」と呼ばれています。

この疲労と倦怠感は主観的な感覚で、身体的疲労もあれば、精神的疲労もあります。精神的疲労は休むことや睡眠で改善することは難しく、日常生活にも支障を来たします。

研究データによると、疲労と倦怠感は嘔吐と痛みを伴うことがあり、癌患者を困憊させ、最悪の場合は自殺に至る人もいます。そして、化学治療や放射線治療を受けている癌患者にとって、疲労と倦怠感は癌治療を止めたいと思わせるだけではなく、治療後の生活の質にも大きく影響してしまいます。

「癌因性の疲労」になる原因として、癌患者の体は長期間炎症反応を引き起こしている状態だからと考えられています(免疫システムは炎症反応によって癌細胞と対抗すると同時に癌細胞も炎症反応を引き起こす)。長期間の炎症反応が体の内分泌に影響し、ホルモンや神経伝達物質の分泌失調により疲労と倦怠感を生じさせます。

しかしながら、臨床上に癌因性の疲労の治療薬はかなり少なく、NCCN(全米を代表とする癌センターで結成されたガイドライン策定組織)のガイドラインによると、僅か一種類の薬-メチルフェニデートと言う中枢神経刺激薬しか取り扱われていません。しかし、この薬には食欲が落ちたり、口が乾きやすくなったり、気持ちが悪くなったり、焦慮したり、神経が緊張しやすくなったり、不眠症になったりする強い副作用を伴うことがあります。

よって、癌細胞と戦う時に、有効な薬物の他に、副作用を抑えながら癌因性の疲労の改善、もしくは解消する方法が必要となります。

そして、今年の5月に中国の廣州中醫薬大学第一付属病院の腫瘍科センターで、非小細胞肺癌のマウス使って、霊芝多糖が癌因性の疲労や腫瘍の増殖と成長にどんな影響を与えるかを研究し、その結果は<International Journal of Biological Macromolecules>という雑誌で発表されました。

非小細胞肺癌を研究対象として選ばれた理由は高死亡率以外に、約8割の患者が肺癌だと診断された時点で既に手術するのが不可能で、化学治療を主にすることしか出来ません。しかし、8割~9割の患者は化学治療によって癌因性の疲労が引き起こされます。

研究者たちは、まず1組10匹からなる実験用のマウスを9組用意します。1組は正常、ほかの8組は人の非小細胞肺癌の培養細胞を注射し、腫瘍が形成されるまで7日間待ちます。癌になった8組のマウスの内の1組は腫瘍対照組にして、他の3組は経口投与で低、中、高用量の霊芝抽出物(低:50mg/kg 中:100mg/kg 高:200mg/㎏)を与えました。あとの4組の内の1組は化学治療の対照組にして、毎日2日おきに腹腔内注射でプラチナ製剤(10 mg/kg)を投与し、残りの3組は化学治療と同時に低、中、高用量の霊芝抽出物を与えました。(下の図に参照)

201612-cancer-1

(制作/許嘉玲。画像をクリックで拡大)

 

そして、この3週間に渡る治療の中で、7日おきにマウスたちのしっぽに錫ワイヤーを巻いて(巻いている錫ワイヤーはマウスの体重の7%)、マウスが疲れるまで泳がせます。10秒以上浮かなければ、マウスが疲れている状態と判断します。つまり、泳ぐ時間が短ければ短い程、マウスは疲れている状態だということです。

結果、腫瘍や化学治療はマウスたちに疲労感を与えることがわかりました。特に、化学治療は疲労症状を早めることがわかりました。そして、霊芝多糖体は腫瘍や化学治療による疲労を軽減し、その効果も霊芝多糖体の量に比例します。(下の図に参照)

201612-cancer-2

(制作/許嘉玲。画像をクリックで拡大)

 

この結果は、霊芝は炎症反応の緩和、筋肉内の酸化ストレス(酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用)の低下、腎毒性(尿素窒素を減少)の軽減に作用し、癌因性の疲労を改善することが証明されました。しかし、低用量の霊芝では効果が不明瞭であり、中用量と高用量の方は効果が見られました。

そして、3週間の治療の後に、霊芝を与えられたマウスと化学治療をしたマウス、並びに霊芝と化学治療を平行に治療したマウスの方が、肺腫瘍の生長が抑制されたことが証明されました。化学治療のみのマウスは、霊芝のみ与えられたマウスより治療の効果がよく見られましたが、霊芝と化学治療を平行に治療したマウスの方は著しい効果が見られました。(下の図に参照)

201612-cancer-3

(制作/許嘉玲。画像をクリックで拡大)

 

霊芝のみの治療では肺腫瘍の生長の抑制率は約20%、化学治療のみでは60%でした。しかし、霊芝と化学治療を平行に治療することで、肺腫瘍の生長抑制を70%にまで上がることが出来ます。

一見、化学治療のみでも肺腫瘍には良い抑制作用がありますが、実際マウスたちの生存率はそれに比例していません。単純に、霊芝のみの治療と霊芝(中用量と高用量)と化学治療を平行に治療した方が、マウスたちの生存期間が延びるという結果が出ました。

この研究は癌因性の疲労の視点からスタートし、霊芝は癌患者の生活の質(QOL)を上げることが立証されました。それと同時に、霊芝の量が十分であれば、化学治療との相乗効果があることが分かりました。霊芝は化学治療による腫瘍抑制効果を上げ、化学治療による副作用も軽減させることが出来ます。

 

〔出典〕Ouyang MZ, et al. Effects of the polysaccharides extracted from Ganoderma lucidum on chemotherapy-related fatigue in mice. Int J Biol Macromol. 2016; 91:905-910. doi: 10.1016/j.ijbiomac.