霊芝による大腸がんの予防

2017629日、広島大学の学者たちは≪Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry≫という雑誌にある研究報告を発表しました。霊芝の中に含まれているトリテルペノイド類と霊芝多糖は大腸がんを予防できると、過去の様々な研究で判明されてきましたが、どの様なメカニズムで効果が発揮されるのか、今回の研究で詳しい説明がありました。

文/許嘉玲   中文版/請連結

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研究者たちは、高脂肪飼料の中に5%の霊芝子実体の水抽出物もしくは霊芝子実体粉末を入れて、三週間に渡って研究を行いました。

 

メカニズム① 腸内菌叢を整え、二次胆汁酸の産生を減らす→発癌物質の減少

霊芝入りの高脂肪飼料を食べているラットは、腸内の二次胆汁酸(例えば、リトコール酸とデオキシコール酸)が著しく減少したことが分かりました。


「二次胆汁酸」は胆汁が腸内細菌によって分解された後の物で、発がん性があります。胆汁は肝臓で分泌され、事前に胆嚢内に貯蔵されます。私たちが食事した後に、胆管を経由し小腸の中に入って脂肪の消化を手助けする働きがあります。

話を言い換えると、脂肪分を取れば取るほど、小腸に入る胆汁の量も増え、結果としては二次胆汁酸の量も増加します。たまに脂肪分の多い物を摂取しても構いませんが、この様な食生活を10年以上続けていると恐ろしいことになります。

今回の研究で、霊芝入りの高脂肪飼料を食べているラットは、腸内の二次胆汁酸が明らかに減少したことの他に、二次胆汁酸を産生する腸内細菌(例えば、Clostridium coccoideとClostridium leptum)の数も著しく少なくなったということが判明しました。この結果から、霊芝が腸内菌叢を調整することで、脂肪分と油分の高い食べ物から大腸がんを誘発するリスクを下げてくれることがわかります。

 

メカニズム② ムチンを増加させ、腸粘膜を護る

霊芝入りの高脂肪飼料を食べているラットの糞便中のムチンの量が著しく増加し、これは腸粘膜が保護されていることを示しています。

腸管は、腸内細胞が作られた粘液で覆われています。これは腸管バリアと呼ばれ、私たちの腸内健康を維持しています。腸管内の粘液の主要成分は「ムチン」であり、ムチンの量が少なくなると腸粘膜も薄くなってしまいます。すると、腸粘膜によって守られている腸内細胞もダメージを受けやすくなり、大腸がんの発生率も上昇します。

 

メカニズム③ 短鎖脂肪酸の含有量を増加→細胞を保護し、炎症を減少

実験では、ラットの盲腸内の短鎖脂肪酸含有量を分析しました。盲腸は大腸の最前端で、小腸と繋がっています。小腸では消化されない食物繊維が小腸から出て大腸に入ると、大腸内の細菌によって分解され、短鎖脂肪酸を放出します。(主なのは、酢酸、プロピオン酸、酪酸等)

放出された短鎖脂肪酸は腸内細胞によって吸収され、腸内細胞のエネルギー源になり、ダメージを受けた細胞を修復することができます。それと同時に、短鎖脂肪酸は腸管内の㏗を維持することができ、悪い菌の生長を抑え、腸粘膜内の免疫細胞を調節することによって、腸管の炎症を抑制する効果があります。

長期に高脂肪飲食を続けると短鎖脂肪酸の生成が少なくなると言われています。しかし、この研究では高脂肪飼料を食べたラットが、同時に霊芝を食べると、盲腸の中のプロピオン酸と酪酸の量が著しく増加することが判明されました。

 

メカニズム④ IgA抗体を増加させ、腸管免疫力を高める

腸管の免疫状況を更に理解する為に、研究者たちはラットの糞便中のIgA抗体を調べました。

腸管は人体の中の最大な免疫器官で、その中で最も重要なキーを握っているのがIgA抗体です。霊芝の水抽出物入りの高脂肪飼料を食べたラットの糞便を観察すると、IgA抗体の量が明らかに増加していました。それは腸管の免疫力が高まったことを示しています。

しかし、霊芝子実体粉末入りの高脂肪飼料を食べたラットの糞便中のIgA抗体には特に変化が見られませんでした。それは、違う霊芝が腸管免疫に対して違う作用があるからだと考えられます。

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今回の研究で、霊芝は4つのメカニズムによって、高脂肪飲食から誘発される大腸がんのリスクを下げることがわかりました。(上の図に参照)

現代の食生活は高脂肪になる傾向にあり、この研究結果は決して皆様に安心して「好きなものを好きなだけ食べてよい」ということではありません。

食が進む季節、たくさんの旬の食材を楽しみながら、自身の健康を維持したいというニーズを霊芝で補えればと思います。

 

〔出典〕Yang Y et al. Feeding of the water extract from Ganoderma lingzhi to rats modulates secondary bile acids, intestinal microflora, mucins, and propionate important to colon cancer. Biosci Biotechnol Biochem. 2017; 81(9): 1796-1804.